『箱根板橋日記』毎週火曜更新|長嶺 俊也 Nagamine, Shunya デザイナー 1979年生まれ         


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第9回 「戦争・写真・人間たち」 2013年2月12日

  日曜日に、横浜美術館で「ロバート・キャパ/ ゲルダ・タロー 二人の写真家展」を見てきた。

 私は、その昔写真の学校に通っていたことがある。そして、そこまで写真に傾倒するきっかけになったのが高校生の頃に、学校の図書室で見たキャパの一枚のモノクロ写真なのだ。

  その写真には、ひとりの狙撃手の死体がテラスから室内へ仰向けに、頭を扉にあずけるようにもたれかかるように横たわっている。昼間で室内に明かりはなく、外光が柔らかく室内に入り込んでいて、その間に横たわる狙撃手の脇からは、板チョコをドロドロに溶かしてバットに流した様な黒い血が小さく溜まりを作っている。テラスには機関銃と、弾丸の帯が設置されているのがわかる。テラスの向こうには明るい光の中に木立が見え、それは、それだけで人類史上、最も洗練された文化のひとつであるヨーロッパの美しい風景を感じさせるに十分足りる。今しがた、この狙撃手は写真家の前で撃たれて死んだのではないだろうか、と僕は思った。目の前で、シャッターを押す数秒前に。

 瞬間のもつ時間の流れをこれほどまでに感じる写真もない。これは写真の持つ特異能力で、「瞬間」という物を体感的に教えてくれるものかもしれない。そしてこの瞬間、キャパの前で、彼の身体は活動を止め、その意味を失ってしまった。殺し合いという物はそういうものなんだろう。突き詰めると、事象としての結果は私にはそれしか見当たらない。

 まだ生暖かい、温もりのある死がそこにあった。

 私は、この写真を、印刷物も含めて所有していない。もちろん、写真集ならなんどかその機会はあったのだが(実際に今回の展示の図録にも収録されていた)、やはり本当に大事な物はオリジナルプリントで欲しいし、そうなると高額になるのはわかりきっているので、人生の中で出会えば良し、というスタンスでいる。今回、もしかしたら久しぶりにその写真もあるかなと、思っていたいたのだが、なんせキャパは活動が多岐に渡っているし、それぞれで有名な作品をかなり多く残している。あまり期待はしていなかったのだが、驚いたことに、ちょっと見疲れてきた頃の第四か、第五展示室のあたりに、ちゃんとあった。エライぞ横浜美術館!しばし、実物の前で脳味噌を開いて、直立してしまった。

 記憶の中ではスペイン内戦の時の写真だと記憶していたが、キャプションにはドイツの狙撃手に射殺されたアメリカ兵とあったので、どうも勘違いしていたようだ。もしかしたら、その後の第二次世界大戦下のフランスかも知れない。どちらにしろまだ一○○年も経っていない近現代の出来事なのだ。戦争や紛争、テロは、まだまだなくならない。こうして人生を終わらせる人が後を絶たない。非常に残念だ。

 シマッタ!気取って「私は」なんて言っていたら、真面目なまま終わってしまったじゃないか。

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by nagamineshunya | 2013-02-12 11:40 | 箱根板橋日記