『箱根板橋日記』毎週火曜更新|長嶺 俊也 Nagamine, Shunya デザイナー 1979年生まれ         


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第55回 「私的究極の酒懐石」 2013年12月31日

 今日は大晦日である。

 今年もいろいろな忘年会に呼んでもらった。

 勝手にその会社の流行語大賞を決めたり、若手起業家が集まるなんて気恥ずかしいものもあったが、面白かったのは知り合いのジュエリーショップの忘年会で、これは中々料理が凝っていた。

 なんでも主催者のジュエリーショップのオーナーの方が、この日のために何度もシェフと打ち合わせを繰り返して決めたメニューらしい。

 しょっぱなから海老のアヒージョあり、トリッパあり、豆乳鍋ときて、さらにはイタリアンもんじゃなるものが出て来たと思ったら、北海道から取り寄せた特別なラム肉がでてきて、最後はロマノフといういかにも貴族的な名前のデザートで〆た。

 どれも美味しかった上に、なによりいろいろな種類派閥のものを超党派で食べられて、参加者としては大変楽しかった。

 こういうこだわりなら、もてなしを受ける側も楽しいものだ。

 ふと、ぼくだったらと考えてみたくなった。

 かしこまった懐石料理や、フレンチのフルコースとなると知識も経験もないので到底考えることなどできないが、「ルール無視!独断的うまいものなんでも突っ込んだるケンネ風バトルロイヤルコース」ならばぼくにも考えられそうだ。

 しかし、ただ単にうまいものといっても、たまごかけ御飯からステーキまで幅広い(パッと出てくるメニューが悲しいほど後期昭和世代なのだ)。

 そこで、まずテーマを決めることにした。
 
 これは瞬間的にパッとひらめいた。

 「酒懐石」である。

 茶懐石というのがあるが(名前しか知らないが)、それの酒版である。

 つまり、酒を飲むための 究極の懐石料理である。

 ただ、酒といってもこれまた広いので、ここはぼくの得意分野である日本酒でいきたい。

 得意といっても、ぼくの場合、飲む方がということなので、特に味や銘柄云々のことはふれない。

 そこはそれぞれふだん飲んでいる銘柄のレパートリーの中であいそうなものを空想してほしい。

 また、熱燗、冷や、冷酒という飲み方の問題もあるが、それも好きにやってくれい。

 全部で何品になるかわからないが、思いつくままにいってみたいと思う。



 まずは一品目、つきだしだが、これにはよくおせちに入っているような高野豆腐がいい。

 鰹と昆布と椎茸の出汁汁をたっぷり吸わせたものを、1センチ角の立方体に切ったものを一つ。

 「角出汁豆腐」とでも名付けようか。

 これを口に含み、奥歯で噛んだ瞬間に出汁汁が「じゅっ」と溢れ、出汁の香りとうまみが口内にふわっと広がったところに素早く熱燗をキュッとやって、舌及び、食道、胃袋方面へ勝負開始の伝令を送るのだ。

 この突き出しの役目は、食欲を引き出し、さらなる渇望への誘い水としての役割を果たすことだから、一つというのも肝なのだ。

 そして、伝令が胃袋まで到達し、そこで三分ほど次の料理を出さずに時間をおく。

 胃袋の方が「おう、やるんやったらはよもってこんかい!いつでも勝負したるぞ!なんや、ビビっとんのかいな!」ぐらい威勢が良くなって来たところで、ここでいきなり肉を投入したいと思う。

 これには訳がある。

 ぼくは前々からコース料理でメインの前にサラダやスープやぱんを食べさせられたりすることに激しく腹を立てていたのだ。

 はやく肉もってこい!と思っていたのである。

 だから自分で自由に決めていいこの酒懐石では、肉をこのタイミングでどんと出してしまうのだ。どーだ!



 肉はラムチョップがいい。

 新鮮なラムチョップと、テキトウに一口大に切った椎茸、エリンギ、アスパラガス、人参、タマネギ、ニンニクを、すりおろし生姜、クミン、白ワイン、オリーブオイル、塩と一緒に一日つけ込む。

 これを炭火で焼くとうまいのなんの。

 これはもともとバーベキューの時に作った料理なのだが、元ネタはインターネットで発見した土屋さんという料理研究家の方の「ラムチョップのシルクロード風バーベキュー」というレシピなのだ。

 このブログを書く時に確認したら、まだページが存在していたので、気になった方は検索してみてほしい。

 一品目の角出汁豆腐でいきり立った胃袋に、いきなりこのアツアツで最高にうまい炭とシルクロードの香り漂うスパイシーでスモーキーな肉汁したたるラムチョップをガツンと手で食らいつく。

 そして間髪入れずに、キンキンに冷えた冷酒をキューっとやるともう、たまらない。

 バーベキューならあっという間に五、六切れはいってしまうが、やはりここも一切れにしておこう。

 酒懐石の極意は「最初の一口が一番うまい」ということかもしれない。



 ここで、それぞれの膳にぬか漬けと、トマトとキュウリを切っただけの生野菜がどかんとおかれる。

 これは箸休めで、我が酒懐石ではこの辺は好きな時に各自勝手にやってくれスタイルである。



 三品目は、二品目のラムチョップからの流れをくんで、シルクロードつながりで餃子といきたい。

 餃子はこの辺(神奈川県小田原市板橋)でカンタンに手に入ってうまいのは点心園の餃子(生でも焼きでもテイクアウト可)だが、つくるなら「萬餃苑の餃子」のレシピが今までで一番うまかった。

 萬餃苑はパラダイス山本さんが経営&腕を振るう会員制の餃子専門店で、餃子のフルコースが味わえる。

 これはそのなかでも定番の、なんとゼナ入りの焼き餃子で、dancyuに掲載されていたレシピ。

 材料は60個分で、豚バラ170グラム、豚ロース170グラム、ニラ30グラム、長ネギ1/3本、セロリもネギと同じくらい、キャベツはその倍、干し椎茸(戻したもので汁気はきらない)50グラム、味付けは、塩5グラム、きび砂糖3グラム、粗挽き黒胡椒5グラム、鶏ガラスープの素(顆粒)3グラム、おろし生姜15グラム、紹興酒20ミリグラム、ごま油大さじ1、ゼナキング10ミリリットル。

 材料や、味付けがそろってれば後は普通に作ればたいしてずれないと思うので、作り方は割愛するが、ポイントとしては、肉に味付けのものを全部混ぜて寝かせて味をなじませてから、野菜と椎茸を混ぜること。

 これは野菜の水気が出てしまうからで、肉と野菜を全部混ぜた後は皮を作る間、冷蔵庫にいれてさらに味をなじませる。

 もちろん皮は市販のでOK。

 ぼくは予算の都合上ゼナを入れなかったのだが、それでも十分うまかった。

 でも直感としては、声には出さなかったが、これにゼナが入っていたら三倍くらいうまくなったのではないだろうかと、ちらっと後悔したので、チャレンジする方はぜひ入れてみてほしい。 

 焼きたてアツアツの萬餃苑の餃子をエイヤ!っと口に放り込んでハフハフかみかみしたらやっぱりキンキンに冷えた日本酒をキューーーッとやると、いやはや、もう文句なし状態ですよ!

 ぼくは、餃子を食べるときは、つけダレはシンプルに醤油とお酢だけ。

 しかも、酢が8の醤油2ぐらいとかなり酸っぱめが好みなのだ。

 お酢は京都の千鳥がまろやかでおいしいし、スーパーで気軽に手に入りのでおすすめ。

 この餃子も、ふだんならひとり20個は確実だが、やっぱり一個だけ。

 どんなに美味しくてもふたつ目は食べさせないのだ。

 うまさに恍惚としながら記憶で味を反芻して、酒をなめてほしいのだ。



 四品目は、少し口の中をさっぱりさせるために、最近出会った「白魚の南蛮漬け」をおすすめをしたい。

 南蛮漬けは、鯵や、ワカサギなどがあるが、大きさ的にこの白魚の南蛮漬けが一番だ。

 つけダレは甘さをおさえて酸味を多めにあっさり目に仕上げ、一緒につける野菜はタマネギとセロリ、パクチーを上にちぎってのせる。

 これは、白魚に変わっただけで驚くほどうまい。

 一口のバランスが完璧になるのだ。

 酒は熱燗をあわせるのがいい。

 白魚の南蛮漬けのあとに熱燗を口に含むと、酸味の後に甘みがふわっと膨らみ、なんともいえない。



 おつぎは五品目、「小鯵の唐揚げ」だ。

 酒飲みというのはとかく揚げ物がなければ満足しないものだ。

 酒の肴部門で堂々第一位は間違いなく鶏の唐揚げになるだろううが、ぼくはあえてこの小鯵の唐揚げをお出ししたい。

 これは高峰秀子さんのレシピから。

 新鮮な極小の鯵(小田原だとジンダとも呼ぶ)のおなかを出して、ゼイゴ(しっぽの両側面についているギザギザした固いところ)を取り除いて(ココまでなら大体の魚屋さんでやってくれるので、男どもようまいものが食べたければ、勇気を出して魚屋へ行くのだ)、よく洗い、水気をよくとる。

 鯵の両面にサッと片栗粉をまぶしてサラダオイルであげるだけ。

 揚げたてを生姜醤油で食べると、もう止まらない。

 休みの日の夕方に、台所に立ちながらビールを片手に揚げたはじから食べていると、たちまち一人30尾はかたいのだが、ここでは2尾くらいにしておこう。

 作ってみて大事だと思ったことは、鯵に下味を絶対につけないこと、それと必ず生姜醤油で食べること。

 考えただけで涎ダラダラ、2尾だけなんてもっと食べたくて頭をかきむしりながら悶絶して気が狂ってしまうかもしれない。



 六品目は、「鯵のたらこ和え」。

 たらこの塩味で鯵を食べる変わった料理なのだが、これはぼくの中で今のところナンバーワンの肴。

 レシピは新橋・京味の西健一郎さんのもの。

 材料は、刺身用鯵100グラム、たらこ50グラム、九条ネギ4〜5本、酢適量、以上。

 刺身用の鯵に軽く塩をして、10〜15分おく。

 同量の水で割ったお酢でさっと洗って身を締める。

 たらこは皮を取りのぞいてほぐす。

 九条ネギを根と先端を落として茹でて、冷水にとって絞り、3センチの長さに切る。

 あとは鯵と九条ネギをたらこで和えるだけ。

 とんでもなくカンタンだが、とんでもなくうまくて、多分はじめて作って食べてみたら、そのギャップにウームとうなってしまうだろう。

 これには冷や(常温)が一番いいように思う。

 

 七品目は、「金目鯛のしゃぶしゃぶ」。

 これは小田原の居酒屋、魚菴の金目鯛鍋を食べたらやたらとうまかったのと、仕事で撮影した同じく小田原にある魚國のブリしゃぶから思いついた一品。

 昆布でたっぷり出汁をとっておいて、そのだし汁で薄く切った金目鯛をしゃぶしゃぶしてポン酢で食べるだけの、これまた猿でも覚えそうなほど単純な料理だが、脳みそを突き抜けるうまさなのだ。

 日本酒は好きな飲み方で、あとお好みで、柚子胡椒か、紅葉おろしをどうぞ。

 



 最後はピスタチオアイスあたりで締めようかと思ったが、たぶん呑んべはこの後もまだまだ他の店へハシゴするだろうから、ここは小田原の名産、「曽我の梅干し」で締めたい。

 無添加の酸っぱくてしょっぱい肉厚の梅干しを一粒。

 これで口の中と、胃をさっぱりさせて、意識も少ししゃっきりさせて、新たな店へ旅立ってほしい。

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by nagamineshunya | 2013-12-31 11:52 | 箱根板橋日記